「プラスチック」が意味すること
プラスチックは、英語で”plastics”や”plastic”と言います。
その語源は、ギリシャ語の”プラスティコ”。
これは「形づくることができる」という意味なのだそうです。
「形づくることができる」というのは、ちょっと難しい言葉で「可塑性(かそせい)がある」と言います。
つまり、プラスチックとは「形を自由に変えて形成できるもの」ということです!
「プラスチック」の定義
プラスチックは次のように定義されています。
「高分子物質を主原料として人工的に有用な形状に形作られた個体」
※ただし繊維・ゴム・塗料・接着剤は除く
日本工業規格( JIS K 9600-1977 )
高分子物質というのは、「化学的に合成された、非常に大きな分子量をもった物質」のこと。
天然の高分子化合物でいうと、例えば天然ゴムなどの天然樹脂やセルロース・絹・たんぱく質などがあります。
一方、人工的に合成して作られた高分子化合物は、合成樹脂・合成繊維・プラスチックと呼ばれるものになります。
プラスチックってどうやってできる?
おおもとは石油(原油)です
原油は灯油・ガソリン・軽油・重油などに分解されますが、その1種である「ナフサ」というものがプラスチックの主原料になります。
このナフサをさらに分解すると、「エチレン」や「プロピレン」というプラスチックの原料になります。
ただし、このエチレンやプロピレンは気体・液体なので、プラスチックを作る時にそのままでは使えません!
「モノマー」から「ポリマー」へ
エチレン、プロピレンは低分子化合物で「モノマー(単量体)」と呼ばれます。
プラスチックのような高分子化合物を作るには、モノマーをたくさん結合・連結させて「ポリマー(重合体)」にします。
モノ(mono)=ひとつ、ポリ(poly-)=たくさん、ということ!
ちなみに、結合・連結することを「重合」反応といいます。そして重合には熱・光・添加剤を必要とします。
このように、モノマーだったエチレンやプロピレンを重合させると、「ポリエチレン(PE)」、「ポリプロピレン(PP)」といったプラスチックになります。聞いたことありますね。
ちなみに、主な添加剤は次のようなものがあります。
分解を防ぐ添加剤 | 熱安定剤 |
酸化防止剤 | |
紫外線吸収剤 | |
防カビ剤 | |
燃えにくくする添加剤 | 難燃剤 |
柔らかくする添加剤 | 可塑剤 |
どの添加剤も安全だったらいいのですが、中には内分泌かく乱作用(生殖機能や神経系への健康被害)があると言われるものも含まれています。
プラスチックの種類によっては、こういった添加剤が最終製品の重量の10~50%、ときには80%を占める場合もあります。とにかく、たくさんの添加剤が使われています。
身の回りにある主なプラスチック
このような工程を経て、様々な形に成型されて出来上がったプラスチック製品。
大きく5つの種類に分けられます。
ポリエチレン (PE) | 容器・包装(袋・ラップフィルム・食品チューブなど)・バケツ・網・コンテナなど |
ポリプロピレン (PP) | 容器・包装(袋・ラップフィルムなど)・家電・おもちゃ・自動車のパーツ・ゴミ箱・紙オムツ・衣類など |
ポリスチレン (PS) | 発泡スチロール・食品トレイ・CD/DVDケース・乳酸菌飲料の容器・カップラーメンの容器など |
ポリ塩化ビニル (PVC) | パイプ・雨どい・窓のサッシ・電線の被覆・壁紙など |
ABS樹脂 (ABS) | 車の部品・テレビやオーディオ家電など |
世の中に出回っているプラスチックの約半分は、容器や包装といった「使い捨てプラスチック」です。
例えば、ペットボトル・ストロー・ラップ・野菜やお菓子の包装・豆腐や納豆の容器・シャンプーのボトル・ハミガキ粉のチューブ・レジの袋などなど、あげればキリがありません。
私たちの身の回りは、たくさんのプラスチックで溢れかえっています。
この使い捨てプラスチックがゴミとして川から海へ流れ出し、大きな環境問題になっています。