「マイクロプラスチック」という言葉を聞いたことはありますか?
「マイクロ」というだけあって、それは小さな小さなプラスチック片のことを言います。正確には、5mm以下に微細化されたプラスチックと定義されています。上の写真がそれです。
今や世界中の海の表層から深海まで、いたるところに存在しているんです。
マイクロプラスチックはこうやってできます
洗濯物に使うプラスチックの洗濯バサミやハンガーって、ある時急にボキッと折れませんか?細かく砕けたプラスチックが、ポロポロと手についたり…。
それは、長い間紫外線や熱に晒されて、もろくなってしまったからです。
これと同じことが、浜辺に散乱しているプラスチックごみにも起こります。細かく砕けたプラスチック片が、マイクロプラスチックというわけです。
こうしてできたマイクロプラスチックは、風に飛ばされたり波にさらわれたりして、海に流れ出します。
一方、陸地近くを漂っている大きなプラスチックごみは、浜辺に打ち上げられ徐々に劣化してマイクロプラスチックに。そしてまた遠くの海へと流れていきます。
浜辺に打ち上げられることなく海に浮いたままのプラスチックも同じです。海面から顔を出しているところから劣化が始まり、微細化されていきます。
プラスチックごみがたくさん集まって野ざらしになっている場所は、いわばマイクロプラスチックの大量生産現場です。
マイクロプラスチックの何が怖いの?
プラスチックの中の添加剤が海に溶け出します
プラスチックが紫外線や熱などでボロボロになって、やがてマイクロプラスチックに。その過程で、製造された時に使われた添加剤が海中に溶け出すんです。
添加剤によっては危険なものもあります。溶け出さなかった添加剤は、そのままマイクロプラスチック内に残り続けます。
海水中にある有害な化学物質を引き寄せます
海中には残留性汚染物質(POPs)と呼ばれる有害物質が存在しています。マイクロプラスチックは、残留性汚染物質を吸着してしまいます…!しかも、吸着したPOPsはプラスチックの中で高濃度に濃縮されます。
POPsとは? (Persistent Organic Pollutants : 残留性汚染物質)
自然に分解されにくく生物濃縮によって人体や生態系に害をおよぼす有機物のこと。 物質によっては使用されたことのない地域でも検出されることがあり広範囲に影響をおよぼす可能性がある。
ダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどがこの物質にあたる。
海の生物に食べられて生態系に影響を及ぼします
動物プランクトンは、マイクロプラスチックを餌と間違って食べちゃってます!
プラスチック自体には全く栄養がないので、栄養不足になった動物プランクトンは子孫を残す能力が低下し、その数が減ります。
動物プランクトンは食物連鎖の底辺を支えていますが、その数が減るとどうなるでしょう?それを餌にする生物たちにも深刻な影響が出てきます。
また、危険な添加剤や残留性汚染物質が残ったままのマイクロプラスチックを食べてしまうと、生物の体内に危険な物質が移ってしまい、巡り巡って私たちに返ってきます。
人間にどの程度の影響を与えているのか、まだわかっていません。ただ、放って置けないことは確かです。
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世界中の海のあらゆるところに散らばり、回収できません
マイクロプラスチックは、その小ささゆえ簡単に海のあらゆる場所へ運ばれます。
- 海流によって様々な場所へ拡散!
- 海洋生物が誤飲・誤食することで他の海域や深海へ運ばれ、排泄されて拡散!(生物輸送)
- 海鳥によって陸地にも運ばれる!
マイクロプラスチックは、北極や南極でも見つかっています。もう海に出てしまったマイクロプラスチックは、回収できません!生物分解もされないので、どこかに(いたるところに)ずーーーーーっと残り続けます。
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今すぐできることは、「これ以上増やさない」こと。その根本的なアプローチは、「プラスチックごみを出さない」ということです。
このことが、どれほど重要かわかっていただけたら嬉しいです。
アイキャッチ画像:photo by Chesapeake Bay Program (CC BY-NC 4.0)