先日、県内のリサイクルセンターを見学しに行ってきました。
というのもここ最近いろんな人から同じ質問を受けることがよくあって。
それは、
「プラごみをキレイに洗ってリサイクルに出してるけど、結局燃やされてたら無意味。どうなってるの?」
とか、
「苦労して洗っても、他の人の汚れたプラごみと混じったら汚されちゃうんじゃないの?」
とか、
「油だらけのプラごみを洗うって水も洗剤もたくさん使う。それなら燃えるゴミに出した方がいいんじゃないの?」
というリサイクルへの疑問。
私も現場でどうなってるのかよく知らなくて、答えは出ないかもしれないけど一度ちゃんと見ておこうと思いました。
ごみピットはプラごみの山…
小学生の社会科見学も受け入れている津市リサイクルセンターへ。2005年に竣工した新しい施設です。
津市の家庭から出た資源ごみ(ビン、缶、ペットボトル、容器包装プラスチック、可燃性の粗大ゴミなど)がここに集まってきます。
パッカー車で運ばれてきた資源ごみはピットへ。扉に「びん」「容器プラ」など書かれていて、種類ごとに分かれています。
ピットとはゴミを一時的に溜めておく巨大なゴミ箱。下の写真は全て容器包装プラごみ!最大133tもの量をストックできるそうです。
ゴミをクレーンでつかんでコンベアへ供給。ひとつかみで300kgのプラごみをキャッチできます。
それにしてもこの量…。こんなの初めて見ました。
コロナが今より大変だった時期はこんなもんじゃなかったそうです。

リサイクルセンターは分別するところ
コンベアで運ばれたごみは、まだ家庭から出されたままのいろんなものが混じった状態。
これを次は手作業で選別していきます。

本当に人の手でやってるんですね…。知ってはいたけど、実際は機械か何かで(割と適当に)ペンペン弾いてるのかと勝手に想像していました。。
汚れているもの、リサイクルできないものは作業者の横にある箱に次々入れられていきます。
ここで選別された資源は、民間のリサイクル業者に引き渡されます。センターでは次に渡す業者の基準で選別が行われているそう。
いろいろ細かい基準があるようで、見学ツアー担当の方も詳しくは把握されていないようでした。
リサイクルセンターではそのままマテリアルリサイクルまでやらないんですね。あくまでリサイクルできるもの・できないものに選別する施設、という位置づけ。(施設によって違いもあると思います)
汚れたプラごみは大迷惑
ここで質問①:
「苦労して洗っても、他の人の汚れたプラごみと混じったら汚されちゃうんじゃないの?」
回答:
その通り。お菓子のクズがバーっと散らばったり、液体が広がったりしてせっかくキレイだったゴミも汚れる。実際リサイクルに出せるのは全体の50%くらい(低い!)。作業台まで汚れて、ラインを止めて掃除することも。
弾かれたものは可燃ごみと一緒に燃やされます。
個人のせっかくの努力も、意識の低い人・無知な人に引っ張られてしまう。その差が少しでも埋まればもっとリサイクルは進むのにと嘆いておられました。
キレイなプラごみはマテリアルリサイクルへ
質問②:
「キレイに洗ったプラごみが燃やされることはないの?」
回答:汚れたゴミにも汚染されず、めでたく選別をパスしたキレイなものは圧縮されてリサイクル業者へ運ばれる。
それをわざわざ可燃ゴミと一緒に燃やすことはしていない。
圧縮されたキレイなプラごみはとても大きな四角い塊。1個300kgあって、それが1ヶ月で30〜40個も出来上がるそうです。
下の写真は圧縮されたペットボトルの塊。右のはすごくキレイだけど、左のはラベルや汚れが残っています。
どちらもこのままリサイクル業者に渡されますが、その先でどう処理されるかまではわからないそうです。

キャップがついたペットボトルもたくさん含まれていて、一つずつ手作業で外しているそう。
1日で約150kgのキャップってすごすぎない?みんな面倒臭がらずに外して出そう。
どこまでリサイクルに出す?
質問③:
「たくさん水や洗剤を使って洗うより燃えるゴミに出したほうがいい?」
回答:
それは個人個人の価値観による。水質汚染を気にする方は洗わずに燃えるゴミに出したほうがいいと言われるし、逆の意見もある。
一概にこれが正解、というのがない。
私もかつては1つ1つのプラごみを洗っては乾かしていたので、このモヤモヤはすごく良くわかります。
今は水でさっと洗ってキレイになるものだけをリサイクルへ、それ以外は燃えるゴミに出しています。
プラスチックの20の?(はてな)にこんな記述がありました。
たとえば、プラスチック1gを作るためには1.3~1.4gの石油が必要になります。この1gのプラスチック(ラップにすると30cm×20cmくらい)を40℃のお湯1リットル(蛇口から細めに20秒間出すくらいの量)で洗うと、4gの石油が必要になります。洗うのに必要な石油で、廃プラスチックフィルムの3倍くらいの新品を作ることがきるのです。(安井至「市民のための環境学ガイド」より)
リサイクルのためにお湯や洗剤を使うことは、資源消費と環境負荷の増大につながってしまいます。
(中略)
そのために家庭でできることは、「適切な分別」をすること。「適切な分別」とは、市町村の分別ルールに従って、リサイクルしやすい良質の廃プラスチックを排出することです。たとえば、PETボトルはラベルをはずして、ラベルとキャップは「その他プラ」へ。水でさっと洗ってきれいになるプラスチック容器は「その他プラ」へ、そうでないものは「燃やすごみ」へ。
〜プラスチックの20の?/ きちんと分別すれば、全て材料リサイクルできる?〜より
あと、値引きシールなどが貼られたフィルムもリサイクルできないです。あのシール、全然剥がれないですよね。。
めっちゃストレスですし、良質な廃プラとは言い難いですよね。そういうものは燃えるゴミに出します。
まとめ
私が小学生だった頃、まだ容器包装プラのリサイクルってなかったです。
だから社会科見学で行ったゴミ処理場では燃えるゴミ、燃えないゴミしか見たことがありませんでした。
センターの外れに小高い丘があって、そこはかつての埋立地。昔はそこに廃プラも埋められていたそうです。衝撃。(ノД`)
今回の見学、スッキリ疑問解決というわけではないですが、実際に見に行ってよかったです。
私の住む街は津市ではないので、また事情も違うとは思います。
少しでもどなたかの参考になれば幸いです。